Tachihara Michizo Memorial Museum
展示のご紹介 1999年1-12月
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●1999.1.3〜3.22 新春企画展「立原道造パステル画展2」
立原がパステル画を本格的に描き始めたのは、府立三中絵画部時代からで、現存するパステル画のほとんどは、14歳から18歳までに制作されたと推定されます。
立原は、ルフランのパステルを緑だけで200種類も揃えていたと伝えられています。好みのパステルを手に、どのような世界を描こうとしていたのでしょうか。
本展は、パステル画を中心に、併せて主な収蔵品を通して立原の作品世界を描く企画の第2回目として開催します。
主な出展作品には、パステル画30余点をはじめとして、詩稿、自筆ノートに加えて、三中生立原を語る資料として、試験の答案、賞状などがあります。
●1999.3.27〜6.27 没後60年記念特別企画展
「『優しき歌』の世界-立原道造と水戸部アサイ」
立原道造が24歳8か月という短い生涯を閉じたのは、1939年(昭14)3月29日でした。
それから60年、立原の「優しき歌」は、時空を越えて今も人々に語りかけ、青春の日々へと誘います。
1938年(昭13)8月、立原は、病を理由に石本建築事務所を休職し、静養のため信濃追分の油屋に滞在して、詩集「優しき歌」を構想していました。
この詩集は、立原の夭折で未完となりましたが、制作中の画帖を間近で見た中村真一郎の記憶を基に、立原の没後、堀辰雄によってまとめられ、『詩集優しき歌』(1947年 角川書店)に収録されました。現行全集では「優しき歌II」と題されています。
その年の春ごろから、同じ建築事務所に勤める水戸部アサイとの愛を育んでいた立原は、夏から冬までの短い間に15通もの書簡をアサイ宛に出しています。
この手紙は、アサイのもとで大切に保管されていました。一方、立原は、追分・盛岡・長崎へと続く旅の途次、アサイからの返信をバスケットに入れ持ち歩いていましたが、立原没後、アサイの手によって日本橋橘町の生家の庭で焼却されました。
本展は、堀辰雄が編んだ詩集「優しき歌」とアサイ宛書簡等を紹介することにより、立原の願った「ひとつの愛」を辿ろうとするものです。
主な出展作品には、「優しき歌」収録のソネット11篇をはじめとする同時代の詩稿、アサイ宛書簡15通、アサイの遺影や遺品、小住宅スケッチや石本邸設計図等があり、その多くが今回初公開される作品です。
●1999.7.1〜9.26 夏季企画展「立原道造・建築家への志向」
24歳で夭折した詩人立原道造は、将来を嘱望された建築家でもありました。
1934年4月、立原は、東京帝国大学工学部建築学科へ入学し、建築家を志します。
本展では、新たに発見された建築論文「建築衞生學と建築裝飾意匠に就ての小さい感想」[1936年(昭11)3月上旬頃]をはじめとして、東大時代の講義録、設計図などの未発表資料を数多く公開し、立原の志向した建築家像を描きます。
また、ソネット「風に寄せて」2種7詩の原稿、パステル画、書簡なども展示し、立原の多面的な作品世界を紹介します。
●1999.9.30〜12.26 秋季企画展「立原道造の“物語”―「春のごろつきを中心として―」
立原道造は、24歳8か月という短い生涯にもかかわらず、詩・俳句・短歌・物語・パステル画・スケッチ・建築設計図などの多様な作品を数多く残しました。
なかでも“物語”は、一高の『校友會雜誌』に発表し好評を博した「あひみてののちの」(1931年)から、『文藝汎論』掲載の水戸部アサイ宛献辞を持つ「物語」(1938年)まで、21篇を生前に発表しています。
本展は、一般文芸雑誌『作品』の第1回新人コンクールで掲載された「春のごろつき」(1936年)を中心として、長篇詩ともいえる“物語”に託した立原の作品世界を描こうとするものです。
主な出展品には、『作品』と初稿12枚および紙芝居用に描いたスケッチ、“物語”の遺稿、“物語”の多くを発表した同人誌『こかげ』『僞畫』『未成年』の全冊、没後刊行の物語集『鮎の歌』『絵入版春のごろつき』、加えて、詩稿、書簡、建築作品の模型、遺品などの常設展示があります。
●1999.10.23〜11.14 没後60年記念京都展「立原道造展―『優しき歌』の世界―」
立原道造の没後60年を記念して、京都の思文閣美術館と共催で開催します。
主な出展品としては、この春小館で開催した特別展「『優しき歌』の世界-立原道造と水戸部アサイ」の出展作品を始めとして、詩稿、書簡、パステル画、建築設計図等の220点余の作品を予定しています。
また、「立原道造と京都」と題するコーナーを設け、初公開作品
を中心に京都に関わる作品も展示します。
10月23日の初日には、午後2時から安藤元雄氏の記念講演会「立原道造の“優しき歌”」も予定されています。詳細は、思文閣美術館 にお問い合わせください。
関西での立原展は初の試みですので、ぜひご覧頂きたく、皆さまのご来館をお待ちしています。
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