Tachihara Michizo Memorial Museum
展示のご紹介 2000年1-12月
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●2000.1.4〜3.20 新春企画展「立原道造パステル画展3」
立原がパステル画を本格的に描き始めたのは、東京府立第三中学校の絵画部時代からで、在学中の4年間、学友会大会に毎年作品を出品し、高い評価を得ていました。そして、現存するパステル画のほとんどは、この中学時代(1927-31年)に制作されたと推定されます。
立原は、緑色が好きだったようで、ルフランのパステルを緑だけで200種類も揃えていたと伝えられています。好みのパステルを手に描き出された作品世界には、単なるリアリズムにとどまらず、大正デモクラシー期に伝わったヨーロッパモダニズムの影響が見られます。そして、青春の心の詩とでもいえるような夢や息づかいが感じられ、その純粋さに心うたれるものがあります。遺されている作品の多くは無題ですが、避暑をした御岳の山々、流山の田園風景、自家の物干台から眺めた日本橋の街屋、心象スケッチともいえる魚・少女・玩具などが画題に選ばれています。
本展は、パステル画を中心として立原の作品世界を描く企画の第3回目として開催します。
主な出展予定作品には、パステル画27点余(初公開含)、『詩集「さふらん」』(初公開)、短歌や詩を記したノートや原稿(新資料含む)、遺品などがあります。
●2000.3.25〜9.24 開館3周年記念特別展「立原道造と堀辰雄―往復書簡を中心として―」
1931年(昭6)秋、17歳で出会った堀辰雄。詩人としての歩みをはじめたばかりの立原にとって、その存在は、大きな拠りどころであり導きでもありました。
本展は、立原と堀の往復書簡を中心として、草稿、自筆ノート、書籍など関連作品を展示することにより、二人の間で交わされた確かな対話を描こうとするものです。
主な出展品には、往復書簡のうち現在所蔵が確認されている全書簡39通、立原の評論「風立ちぬ」の初稿などがあり、その多くが初公開の作品です。
この特別展は、開館3周年を記念して会期を6か月にし、会期中に一部の展示変えを予定しています。
●2000.10.1〜12.24 秋季企画展「立原道造・建築家への志向2」
24歳で夭折した詩人立原道造は、将来を嘱望された建築家でもありました。
本展は、昨年開催した夏季企画展の続編として、立原が志向した建築家像を描こうとするものです。
今回が初公開となる作品の一つに、東大建築学科での課題設計図「アパアトメントハウス・試案」(1935年5月)があります。当時の立原は大学2年生・20歳で、ソネット詩人としての新たな出発を果たす、正に〈飛翔の時〉でした。
本展では、この設計図が制作された前後の数か月に焦点を絞り、建築作品と併せて詩稿や書簡、自筆ノート等を展示することにより、詩人・建築家として未完成の立原が、逡巡しながらも紡ぎだした多面的な作品世界を紹介します。
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